「先が読める展開」VS「先が読めない展開」~物語において、どちらの方が良いのか?~

「先が読める展開」VS「先が読めない展開」
~物語において、どちらの方が良いのか?~

貴方も物語や作品を楽しんでいて「この先の展開が読める(わかる)」とか「この先の展開はどうなるんだろう?全く分からない」
と思った事がありますよね?

では、この物語における「先が読める展開」と「先が読めない展開」
これって、どちらの方が優れている、良いと思いますか。
えっ? それは「先が読めない展開」の方が続きが気になるし、ハラハラドキドキするから、そっちの方が……と考える方もいるでしょう。
いやいや、先が読めないよりも、先が想像できる方が面白いはずだ!と考える方もいるでしょう。

最初に、私の結論を書いてしまうと<安直に先が読めるから、読めないから良い悪いなんて決められない!>です。
どちらが優れているのか?なのに、逃げたような回答と思う方もいるかもしれません、それには「読める」「読めない」ではなく、別の要因があるからなんです。

目次

  1. そもそも「先が読める展開」って何?
  2. じゃあ「先が読めない展開」って何?
  3. 「先が読める」と思わせておいて、その予想を裏切るのが上手いやり方
    <余談>読者によって、反応は全く違います。
  4. 最後に……どちらかに特化しても、予想を裏切るのも使い方次第

 

そもそも「先が読める展開」って何?

先が読める展開とは「キャラクターの行動パターンや世界観等が読者にとって想像しやすく、次に何が起こるのかわかる状態」
だと私は思っています。

簡単に言ってしまうとキャラクターの場合、
「あのキャラなら次はこんな行動をするだろうな~」「あ、コイツ絶対次はアレをするぞ!」みたいなものです。

世界観や設定の場合は、
「この世界観や設定だったら、次はこんな事が起こるだろうな」「定番だけど、次の展開はこうなるよね」というもの。
具体的に書いてしまうと、勇者と魔王が入れば「仲間を集めて、倒しに行くよね」とか、
自分より強い相手が出てきて、主人公が惨敗したら、次はどうにかして勝つよね!とか。

物語の構造上、次は事件が起こるよね、ラスト前は絶望に落ちるよね!というような読み方をする場合もあるかもしれません。
テンプレや定番展開で、先が読める場合もあります。
空から少女が降ってくる、主人公がピンチで覚醒する!なんて言うのも、次はこんな事が起こるだろうな。と読みやすいでしょう。

さて、この「先が読める展開」ですが、ある意味「先が読める」=キャラクターや世界観が読者に受け入れられている、想像できる。
という事でもあると言えます。
特に、キャラクターの行動理由が読者にわかる、っていうのは重要な事。

ああ、あのキャラだったらこうするだろう!
⇒そのキャラクターの性格や行動理由を読者が理解できていると言う事ですから。

これが理解できていないと、なんでそんな行動をするの?になっちゃいますからね。
こちらの方が問題です!

なので「先が読める展開」って悪い事じゃないのです。
良くも悪くも「王道」であったり「定番」「理解しやすい」と言えるのです。

ただし、
次にどうなってしまうの?
この問題を主人公たちは<どうやって>乗り越えるの?というハラハラやドキドキといった緊張感やインパクトを与える事が出来ません。

最初から最後まで「わかるわかる」「うんうん、定番、王道だね」で良くも悪くも終わってしまう可能性も高い。
分かりやすいし、納得もできる展開なんだけど「何かが足りない」「無難過ぎる」と思われてしまう可能性も高いのです。
(私なんかは、そう思ってしまう人なので)

じゃあ、やっぱり「先が読めない展開」の方が良いの?⇒下に続きます。

じゃあ「先が読めない展開」って何?

先が読めない展開とは「このキャラクターが何をするのかわからない、一部の設定やキャラの行動理由が隠されており想像できない」事だと思っています。

この「先の読めない展開」の場合は「先が読める展開」より良い部分として
次はどうなっちゃうの?
どうやって解決するの?
といった緊張感を与え、物語の続きが気になる!状態にさせる事が可能。
という事が言えます。

最初から謎で沢山、提示され、出てくるキャラクターも奇抜で、行動理由が全く分からない。
だから、次に何が起こるのかも想像出来ないし、緊張感も与える事が出来る。
おお、なんか「先が読めない展開」の方が優れているように思えてきますね!

が、しかし……
納得できる理由があれば良いのですが、理由が適当だったり、ご都合主義だった時は一気に読者の期待を裏切ってしまう。

えっ?あれだけ引っ張っておいて、こんな方法で解決するの? 伏線もなかったし、理解できない。
えっ? 結局なんで、あのキャラはあんな行動をとったの? 性格や考え方がわからない。

「先が読めない展開」の場合は、後々の納得が必要!
期待値だけ上げて、失望させるのでは意味が無い。

時々ありませんか?
序盤は大きな謎や不思議な設定で興味を持つ、けれど、最後まで見ると「結末に納得できなかったり、期待はずれ」だと思う作品。

私も良く、この手の作品で騙される事があります。
というより、自分で期待値を勝手に上げて、勝手に失望しているだけな気もしますが……。

意図的にやっているのであれば、悪い言い方をすると「序盤で釣って、後は適当に……」
「序盤で注目を集めておこう! 後はどうでもいいや」という作者の考えが出ている?
(まあ、そこまで悪質なのはごく一部だとは思いますけれど……)

もちろん、意図的にやっていなくても「最初は派手に物語を初めて、上手くまとめ切れなかった」だけなのかもしれません。
序盤に読者の期待値を一気に上げて、次が気になる! どうなってしまうの?
そう思ってもらえたら序盤とては勝ちです。

しかし、その上で「読者が納得するような終わり方、謎に対する説明」これが無いと、一気に読者を失望させてしまうのですから。
なので実は「先が読めない物語」は作る上では難しいのです。

読者の理解が出来ない所にもっていって、しかも読者の期待値以上のものを提示する必要があるのですから。
読者が納得できない、これはあり得ない!と思ったら最初が良くても、作品の評価としては悪くなる可能性が高いです。
(最初だけよかった、と言われてしまうでしょう)

じゃあ結局、読者が納得できるような無難な物語にして「先が読める展開」にするのが一番なの?
いいえ、私は次の「先が読める」と思わせておいて、その予想を裏切る、という作り方を提案します。

「先が読める」と思わせておいて、その予想を裏切るのが上手いやり方

ああ、あのキャラだったらあんな行動をするだろうな。
わかるわかる⇒えっ?なんで、突然そんな行動を? そんな結果に?(突然の裏切り、突然の死亡)

というように、読者からしたらキャラクターの行動原理も分かり易い、展開もわかりやすい。
何となく次がわかるなぁ……って物語に慣れてきた、思わせた所で「予想を裏切って、ひっくり返すのです!」
これ、成功するとかなりの効果を発揮できますよ。

ただし、これも結局は「どのように裏切るのか」によります。
例えば、あるキャラクターが突然、仲間を裏切る場合。

⇒実は、裏にこんな理由がありました!
<納得できる>
○ああ、それならあのキャラだったら、その条件を突きつけられたらそうするよね。
(例えば、愛する人が人質に取られていたから、仲間を裏切ったとか)

○自分でも、そうするかもしれない。
(例えば、自分の命が掛かっている状態で、仲間を取るか、自分の命を取るか……確かに仲間も大事だけど、極限状態なら自分の命が第一と考えるはず、とか)

<納得できない>
⇒失望

その理由に納得が出来ないと、結局は「先が読めない展開」と同じく、読者は失望します。
仲間を突然裏切った理由は、お金だった!

あれ? そのキャラクターがお金を好きだとか、お金を集めているなんてエピソードなかったよ。
なんか、突発的な理由に思えてきた。

このように、理由に納得が出来ないと結局は駄目なのです。
ただ単に最初から「先が読めない展開」にするよりは
「先が読めると思わせて、裏切る」の方がインパクトも強いし、作り易い方法だと思います。

どちらの場合も読者を裏切る(予想外の展開、驚きを与える)のであれば、それに値する「まとめ方(納得させる理由、終わり方)」に気をつけましょう。
上手くいけば読者の緊張感を高めて、しかも、スッキリさせる事が出来るでしょう。
「ああ、そういう事だったんだね! 騙されちゃったけれど、その理由なら納得だよ」が理想的です。

<余談>読者によって、反応は全く違います。

もちろん、読者さんによって反応は全く違います。
感情的な意味での反応もありますし、そもそも「先が読める・読めない」は人によって全く違います。

中にはかなり鋭い読者さんもいるのを感じます。
いくら、予想外の展開だと作者が思っていても、読者さんは「ああ、これは実は~だったというパターンだな」
と、わかってしまう場合もあるでしょう。

ようするに「フフフ……そこに伏線をいれたつもりだろうが、俺様は騙されないぜ」という方もいます。
私も「あ~、これは騙したいんだろうけれど、この後は絶対にこうなるだろうな。と思う事もありますし」

逆に、本当に純粋に物語を楽しんでくれる読者さんもいます。
「えっ?えっ? そんな風になっちゃうの!? おおっ」
作者としては、自分が予想した通りの反応をしてくれた、そうそう!そこで、騙されて欲しかった。というように、微笑ましくなります(笑)

結局のところ、反応は全く違うと言う事。
どこまで作品を深読みする人なのか、作品を読みなれている人か、そうでないか。
作品数や経験値等にも影響されるわけです。

最後に……どちらかに特化しても、予想を裏切るのも使い方次第

別に「絶対に読者の予想を裏切る」必要はないですし、絶対なんて出来ません
かといって「王道で先が読めるような物語」を作るのが一番、とも思いません。

そこは貴方次第なのです。
別に今回の物語は騙したいわけじゃない、可愛くて、共感ができるキャラクターを描きたいのであれば別に読者の予想を裏切る必要はありません。

だって、考え方によっては嫌じゃありませんか?
日常モノだと思ったのに、突然キャラクターが死んで鬱展開になる……とか。
(が、私のようにそのような展開が好きな人もいます)

その場合は、ジャンルで騙さないようにするか、伏線を仕込んでおく(鬱になりそうな予兆とか)事が大切かもしれません。
本当に何の前触れもなく、日常モノが鬱展開に突入すると反発も多いと思いますし。

貴方が、読者を驚かせたい!緊張感を与えたい! 予想以上の展開にしたい。
そう思ったら、そのための伏線を仕込んで、納得できる理由をしっかりと考えればよいのです。

結局「先が読める展開」でも「先が読めない展開」でも共通しているのはただ一つ。
それは「納得が出来るのか否か」これだけですから。

そこだけを失敗しなければ良いのです。
逆に、そこで失敗すると読者の失望にも繋がると思っています。

まあ、納得が出来るか否か……これも人それぞれと言ってしまうと、更に混乱しそうですね。
なので「多くの人(大部分)が納得できる事が大切」という風にまとめますね。

全員が全員納得するものなんで、ありえません。
「十人十色」という事です。

 

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