「焦らし」は物語において重要~期待させつつも、すぐにはやらない~

「焦らし」は物語において重要~期待させつつも、すぐにはやらない~

「焦らされる」とイライラしたり、もどかしい事ってありますよね?

「焦らす」を検索したところ「相手に期待をもたせながらそのことをしないで、いらいらした気持ちにさせる。じれさせる。」と書いてありました。
日常では焦らしはいらいらした気持ちにさせる事なので、悪い事の方が多いかもしれません。

しかし、物語において「あえて焦らす」事によって、演出の強化、読者の期待値を上昇させるといった効果を発揮する事もあります。
今回は「物語における焦らし」の重要性と、実際にどのように使えるのかをまとめてみたいと思います。

目次

  1. アニメ版「頭文字D」から学ぶ、焦らしテクニック~主人公がライバルと勝負するまでの焦らしが上手い~
  2. 「焦らし」の物語への生かし方のパターン

 

アニメ版「頭文字D」から学ぶ、焦らしテクニック
~主人公がライバルと勝負するまでの焦らしが上手い~

「焦らし」のテクニックが上手い作品としてアニメ版「頭文字D」を例に取り上げます。
この作品は、主人公とライバルたちが峠で車のレースをするという内容の作品ですが、冒頭での「焦らし」が上手いのです。

何に対しての焦らしかといと、主人公がライバルと勝負をするまでの時間が長い、しかも、主人公には車の才能があるくせに、勝負をする気が無いのです。
この2点でひらすら視聴者を焦らさせる。

まず「主人公がライバルと勝負するまでが長い」点について。
アニメ版なのですが、主人公とライバルが実際にバトルをするのが4話。
それまでの1~3話は正式にバトルをしないのです。

これが普通の主人公だったらわかります。
車のテクニックが無くて、車でバトルをする走り屋の事を知って、自分もバトルをしたくなった!→はじめての勝負。

これだったら何も焦らしはありません。
視聴者と主人公が話を通して、徐々に感情移入し、ライバルたちに挑み、勝ったり負けたりという展開が続くでしょう。

しかし、ここで二つ目の「主人公には才能があるくせに、勝負をする気がない」という要素が付く事で視聴者をひたすら焦らすことになります。
これはイライラしませんか?

主人公には走り屋としての才能が明らかにあります。
例えば、主人公以外のキャラクターが「あの車に乗っているヤツは速い」とか「この峠では一番だ」とか、噂されるほどなのです。
しかし、主人公本人としては「それが普通」であり、ただいつも通りに峠を走っているだけなのです。

だから、別に勝負をするつもりもないし、自分が凄いとも思っていない。
更に、正式に勝負をする前にライバルが、主人公が乗っている車に一部の区間で負けている(追い抜かれる)のです。

ライバルとしては、もう一度主人公と勝負をしたい。
でも、当の主人公は勝負をする気が無い。

これを視聴者は見てほとんどの人が思う事でしょう
「これだけ主人公の凄さが出されている、勝負して欲しいと期待するのに、当の本人は勝負する気が無いからイライラさせられる」

この作品の上手いところは、この視聴者の思いを共有するキャラクター達がいる所。
実は、ライバルは元々主人公に勝負を挑んだわけではないのです。

あくまでライバルが勝負を挑んだのは、その峠をいつも走っている地元のチーム(ライバルのチームに比べて圧倒的に弱い)
交流試合の段階では相手の力量を知り、ガッカリするライバル(これなら、自分達のチームの圧勝で終わるだろう)
しかし、峠で練習をしている時に謎の相手にあっさりと負けてしまう。

ライバルの考えとしては、自分を負かしたのは明らかに地元を走り慣れている人物である=相手のチームメンバーの隠し玉に違いない、と思うわけです。
しかし、相手のチームメンバーはそんな人物は知らないと言うわけです。

※途中で、相手のチームメンバーも正体を知り(間に色々ありますが)結果として、最後の最後に走ってくれと頼むわけです。
この地元のチームのメンバーがいわば視聴者の気持ちの代弁者の役割を果たしているんですよね。

確かにチームメンバーでもないし、走り屋でもない、本人は走る気が無い、だから無理やりお願いする事も出来ない。
でも、走りの技術の凄さは周囲からの話や噂、ライバルが一度は負けた事で明らか。

出来れば自分達のチームメンバーの代わりに勝負をしてもらいたい。
何度も主人公の所に(厳密にはちょっと意味が違うのですが)勝負をしてくれないか、と頼みに行く。

結果、勝負をする「かもしれない」と濁されます。
ここでもまた、焦らされるわけです。

走りが上手い
<でも>
本人は勝負をする気が無い
<更に>
何度も頼みこんだ結果が「勝負をする<かもしれない>」なんですから。

チームメンバーもライバルも、もちろん視聴者も約束の時間までひたすら「焦らされ」ます。
主人公は本当にやってきてくれるのか? 勝負をしてくれるのだろうか? と。
時間にしてアニメ版の1~3話を使い切り、4話の途中までは主人公が来るのか、来ないのか? という展開での焦らし攻撃。

結果として、約束の時間の直前に出現し、走りの勝負をする事になります。
そして、勝負の開始~勝負の結果でやっと、視聴者がずーーっと焦らされてイライラしてきた気持ちや、もやもや(来るのか、来ないのか?)が開放されます。

さて、ここまで焦らしてきた主人公は勝負で勝つのでしょうか、負けてしまうのでしょうか?
今回の内容はそことは関係なので、気になった方は漫画かアニメ版の「頭文字D」を見てみると参考にもなりますし、面白いと思いますよ。
(多分、漫画版も同じだとは思うのですが……私はアニメ版しか見た事が無いので、違いがあるかはわからないです)

何より、私の説明が下手かもしれないので、気になった方、焦らしのテクニックを学びたいと言う方。
⇒実際に作品を見て「確かに焦らしが上手いな」と感じてもらうのが一番だと思います。

「焦らし」の物語への生かし方のパターン

さて、実際に貴方の作品の中に「焦らし」を入れてみましょう。
基本はシンプルに次のような事をやるだけです。

1.下準備(ここにある程度の時間を掛けて、描写をするのがコツ)

2.本番(焦らして、期待値を高めたり、まだか! と読者が思ったタイミングで焦らしを開放する)

この「下準備」をしっかりとして、適切なタイミングで「本番」を迎える事が出来るか。
これが上手くいくかどうかのカギになります。

読者を焦らせばよいと言っても、焦らし過ぎて読者の苛立ちや、期待に応えないままでいると、離れてしまうかもしれません。
ある程度は大丈夫だと思いますが、焦らした上で「そろそろ我慢の限界かな?」というタイミングを見計らって「焦らし」を解消させる展開を入れる(本番)事が大切になります。

(余談;例えば恋愛ゲームの場合は、攻略ヒロインの一人が途中までまったく主人公の事を気にもしない様子ばかりを取る(でも本当は気になっている)この子はいつ主人公に甘えてくれるんだろう? とプレイヤーを焦らさせて、ある時に一気に甘さを見せる、主人公に好意を見せる……という使い方が思い浮かびました)

この下準備と本番の時間配分。
これに関しては内容や媒体によって違ってくるので一概には言えません。

実際に自分で出来上がったシナリオや作品を見て、読者の気持ちを考えながら「焦らしの解消ポイント」の候補を見つける事が大切になります。
焦らしが無さ過ぎるとあっさりとした本番になるかもしれませんし、焦らし過ぎも問題。
「焦らし」はどこまで焦らして、どこで解消させるのか。

なかなか難しい方法かと思いますが、上手く行った時にはとても効果がある手法です。
ぜひとも、今回に取り上げた「頭文字D」をみて頂き、焦らしが上手いと思いましたら参考にするなり、分析するなりすると良いのかな?と思います。

 

 

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