シナリオ編5「そのシーン、必要ですか?」 第42回ウォーターフェニックス的「ノベルゲーム」の作り方

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第42回 シナリオ編5「そのシーン、必要ですか?」
執筆者:シナリオ・イラスト担当 R


 

他の会社さんや、個人のクリエイターがどうやってノベルゲームを作っているのかはわかりません。
ここに書かれているのは、あくまで私達「ウォーターフェニックス」的ノベルゲームのつくりかたです。

 


 
こんにちは。Rです。
シナリオを書こう!と思って書き出すと、意欲はたっぷりですよね。
調子がいいと、スイスイとキャラクターが動き出します。
あれも書こう、あの場面も描こう。ああ、こんなセリフもいい。
そうして書けるうちに、なるべく書いておくのは良いと思います。欲望と妄想の赴くまま、ペンを走らせキーボードを叩き、画面を睨みつけ、時に白昼夢に旅立ちながら文章を書きましょう。楽しいです。

そうして、一通りの情熱を向けるわけですが……その後は、ふと。
冷静になって考えなければなりません。

今書いたシーン(一つの流れ)は、本当に必要だったのかな? と。

◆『無駄』に埋もれて『見せ場』が見えない!

◆そのシーン、なんのためにありますか?
◆描きたいものによって変わる、無駄
◆本編には必要ないけれど、

 

 

◆『無駄』に埋もれて『見せ場』が見えない!
以前にも少し書きましたが、ノベルゲームというのは、他の媒体に比べて単調な展開が続きやすいものだと思っています。
小説なら枚数制限がありますし、アニメやドラマ、映画なら時間制限があります。

しかし、ノベルゲームはその制限がありません。(会社によっては制限されているのかもしれませんが、すくなくとも弊社では特に決めていません)
だからこそ、妄想が続く限り。それこそ永遠に物語を続ける事ができます。
それは利点ではありますが、同時に、欠点でもあります。

 

たとえば、主人公がある日透視能力に目覚めたとします。
主人公は、これであんな事もこんな事もできると喜びます。ひたすら喜びます。家の中を転がり周り、奇声を発し、ベッドの上で悶えます。
そんなシーンを数時間も読み続けなければならないとしたら、どうでしょうか?

 

飽きますよね。
それから主人公が透視能力を使い始めたとしても、読者からしてみれば「やっとか」と思うだけで、最初ほどの期待値はなくなっていると思います。人によっては、読むのを放棄しているかもしれません。

そうなってしまうのは、『透視能力に喜び続ける主人公』というシーンが無駄だからです。
無駄ばかりを見せられて、読者の目はすでにふさがってしまっています。
そうです。
無駄なシーンが多ければ多いほど、必要なシーンや、見せ場のシーンが埋もれてしまうのです。

 

 

◆そのシーン、なんのためにありますか?
では、無駄なシーンと必要なシーンの違いはなんでしょうか?
私は、その場面の存在意義を一言で説明できるか?できないか?という事だと思います。

たとえば、ヒロインの可愛さを見せるために必要だとか、今後の展開の伏線として必要だとか、主人公が決意を固めるために必要だとか。
なんでもいいんです。
とにかく、そのシーンで一番描きたいことを一言で説明できて、かつ、実際にそれがシナリオ上で描けているのなら。それは必要なシーンだと思います。

一見すると馬鹿らしい会話が続くだけでも、その馬鹿らしいところが物語に必要なんだ!と判断したなら、それは必要なシーンです。
逆に、もし主人公が裏切られるようなシーンでも、それが物語上で描きたいものではないなら、無駄なシーンです。

ただ、いくら必要とはいっても、
馬鹿らしい会話が続くシーン→馬鹿らしい会話が続くシーン→馬鹿らしい会話が続くシーン→以下略
という風に、同じ展開が続きすぎるのは考えものです。
そういうシーンが必要なのはわかるけれど、本当に、それだけの数が必要なのか? その場所で入れるべきものなのか? というのは気にしなければなりません。

 

 

◆描きたいものによって変わる、無駄
では、無駄なシーンと必要なシーンについて、もう少し具体的に書いておきましょう。
また、以前ケイ茶が例えで出したプロットを例にします。


 

ケイ茶から送られてくるプロット サンプル 『魔王と勇者の物語』
小さな村に生まれた主人公は、一人の兵士と仲良くなる。
兵士に憧れをもち、稽古をつけてもらうようになる。
・ある日、その兵士が魔物に殺されたと知る。憧れていた兵士が容易く殺されてしまった事実に、主人公はショックを受ける。
それでも、主人公は1人で稽古を続ける。

・主人公が日課の稽古を行っている間に、村が魔物に襲われる。主人公が来た時にはすでに遅く、家族や親しい人全員を喪ってしまう。
この事によって主人公は魔王を憎む。同時に、他の人に同じような気持ちを感じさせたくないと思って、魔王を倒すための旅に出る。


 

上記の流れを、一つ一つ丁寧に描けばいいのでしょうか?
たしかにそれは、『主人公が魔王を憎む』うえでは必要な事だと思います。
しかし、この流れで描きたい事が別のものだったら、すべてを描く必要はありません。

もしも描きたい事が、『魔王の強さ』だったとします。
その場合、必要なのは
・平和な村
・主人公の憧れだった兵士が魔物に殺される
・主人公の村が襲われる
というシーンぐらいで良いでしょう。主人公が訓練していた日々や、兵士との交流はあまり必要ありません。

逆に、『兵士と主人公の絆』を描きたいのであれば、
・兵士と仲良くなる過程
・兵士との稽古
・兵士が死んだ事を知る
・村が襲われる
というシーンが必要だと思います。
村が襲われるシーンでは、主人公が地面に拳をうちつけて「あんなに稽古してもらったのに、俺はまた大切な人を喪ってしまった……!」とでも入れたら、それらしいと思います。

いっその事、描きたい事が『旅立つ主人公』だとしたら。
上記のすべてのシーンが必要ないかもしれません。
村人たちの墓を見下ろした後、歩き出す。それだけで良いのです。
(その後、回想シーンとしてこの過去を描くのも良いと思います)

実際の時系列としてみると、それらの出来事はあった。
けれど、物語上必要ではないシーンだから、カットする。
そうしていくと、テーマがしっかりとした物語になりやすいと思います。

※ちなみに、黒澤明監督の『生きる』という映画は、普通は描くであろうとあるシーンをバッサリとカットしていて素晴らしいので、観た事のない方には視聴をおすすめします。

 

 

◆本編には必要ないけれど、
さて。そうして無駄だと思われるシーンは、本編から排除されていくわけですが……。

 

そのシーン、もったいないと思いませんか?
物語本編としてはテンポが悪くなってしまうから必要ないけれど、この会話とかキャラクターらしさが出てていいのにな、とか。こういうシチュエーションは好きな人がいるんじゃないかな、とか。
そういう気持ちはあると思います。
というより、私はあります。せっかく書いたんだから見てもらいたい!と感じます。
そんな時こそ、ノベルゲームの本領発揮です。

選択肢で分岐するようにしたらどうでしょう。
そうすれば『本編に必要ないシーン』から、『あったかもしれないシーン』に変わります。
番外編として、メニューなどから読めるようにしても良いと思います。
こういった事は、小説などの媒体ではできません。(人気があれば外伝などが出る事はありますが)

繰り返し言います。
ノベルゲームには、時間やページ枚数の制限はないのです。
だから、無駄かもしれないと思ったシーンもすぐに消したりせず、片隅に残しておきましょう。
それはいつか、サブストーリーとして生まれ変わる事ができるのかもしれません。

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