シナリオ編6「キャラクターの心を描く」 第43回ウォーターフェニックス的ノベルゲームの作り方

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第43回 シナリオ編6「キャラクターの心を描く」
執筆者:シナリオ・イラスト担当 R


 

他の会社さんや、個人のクリエイターがどうやってノベルゲームを作っているのかはわかりません。
ここに書かれているのは、あくまで私達「ウォーターフェニックス」的ノベルゲームのつくりかたです。

 



こんにちは。Rです。
今回は、キャラクターの心理描写について考えようと思います。

◆なぜ、心を描くのか?
◆心の声で示す
◆セリフで示す
◆他のキャラクターに喋ってもらう
◆行動で示す
◆設定で示す

 

◆なぜ、心を描くのか?
物語において、キャラクターの心理描写というのは必須だと思います。
というのも、わけがわからないキャラクターがうようよしていたって、面白みがないからです。

たとえば、主人公が目覚めて道を歩いていると、ヒロインが「うけけけけ」と言いながら登場します。

学校について挨拶をすると、クラスメイトが「ぴょっきょーん☆」と言って飛び跳ねます。

主人公も「ぱらりららん♪」と言って全裸になります。
そんな会話と行動が延々と続く話なんて、意味がわからないだけですよね。

 

しかし。
そんな奇行と奇声の合間に、主人公の心理描写として
(くそ、俺はなんでこんな事をしているんだ。でも、こうしないと家族が殺されてしまう……!)
と入ったらいかがでしょうか。
それだけで、見え方がガラリと変わりますよね。
『変な行動をするキャラクター達』が、その瞬間、『脅されて、やりたくもない事をしなければならない可哀想なキャラクター達』になります。そしてその心の葛藤を知る事で、そのキャラクターの行動にも納得がいくわけです。
ああ、たしかに家族が人質にとられていたら仕方ないな、と。

このように、キャラクターの行動や言動に納得する。そして、そのキャラクター達に愛着をもたせるために、心理を描写する必要があります。

 

 

◆心の声で示す
そんな心の内を知ってもらうために一番てっとり早いのは、やはり心の声でしょう。

()などで閉じて書く方法や、地の文としてそのまま書く方法。三人称ならば、○○は~~と思った。と書く場合などもありますね。
この方法だと、とにかくわかりやすいです。
そのキャラクターが思っている事が直接的に伝わってくるわけですから、自然に受け取る事ができます。
感情移入も、しやすい方だと思います。

ただ、主人公の視点として考えると、他者の心の声が聞こえてきたらおかしいですよね。
なので、こういった描写方法は基本的に、主人公の心の中だけを描く事になります。

 

 

◆セリフで示す
主人公以外の気持ちもわかってもらう方法としては、セリフで描写するという方法があります。
これも、セリフの内容によっては直接的ですね。

ヒロイン「私は貴方に無視されて、ずっと悲しかった!」
とでも言われたら、ああ悲しかったんだな、と理解できます。
ただ、これは心の声にもいえるのですが、「悲しい」「嬉しい」「苦しい」などの感情をセリフにするのはあまり多用しない方がいいと私は思います。

たとえば、
「おはよう。挨拶してくれて嬉しい」
「教科書貸してくれて嬉しいよ」
「悲しいからこっち向いて」
「貴方が私を見てくれないと辛い」
「もういいよ。私、怒ったから」

もしヒロインがこんな事ばかり言うようだと、少し疲れてしまいませんか?
そういうキャラクターだと示したいのなら良いのですか、こうして言われてしまうと、わかりやすい分、説明的になりやすいのです。
また、自分の事ばかり喋っているような印象も受けるので、自己中心的な性格にも感じられます。

なので、感情を直接言ってもらうのはここぞという部分だけにして、

「おはよう。貴方が挨拶してくれると、力が湧いてくるよ」
「やったぁ! 教科書貸してくれるんだね!」
「……ねぇ。こっち、向いてよ……っ」
「私……何か、悪い事した?」
「もういいよ!貴方なんてしーらない!」

という風に、多少ぼかしながら、キャラクターの気持ちを示すのが良いと思います。
ぼかし方によってもキャラクターの性格が出てくるので、面白い部分です。

 

 

◆他のキャラクターに喋ってもらう
上記の2つは、そのキャラクター本人が感情を吐露する場合です。
けれど、本人以外にキャラクターの感情を教えてもらうというのもまた、味があると思います。

冒頭で出した、脅されている主人公を例とすると、
奇声を発し続ける主人公→何も知らない周囲は、そんな主人公を笑う→そこに事情を知るヒロインが現れて、怒る。
「彼は家族を人質にとられて、仕方なくあんな事をしてるの。彼、監視の目から逃れた時はいつも1人で泣いてるんだから!」

という風になります。
これも、うっかりすると上記のように説明口調っぽくなりやすいので注意が必要ですが、うまく使えると面白いです。
そのキャラクターが隠そうとしている気持ちを、他のキャラクターによって知る。それは、直接感情を吐露された場合とは違った衝撃を与える事ができる、と思います。

 

 

◆行動で示す
しかし。口でああだこうだと言ってばかりなのは、ちょっと情緒に欠けるといいますか、野暮な時もありますよね。
そんな時は、無言です。キャラクターのセリフは必要ありません。行動で気持ちを表してもらいましょう。

たとえば、教室で数人が何か話をしていて、笑い合っている時。その中の一人が突然、机を強く叩いたかと思うと廊下に出て行ってしまった。
そのキャラクターは、一言も発しません。けれど、何かに怒ったんだろうと推測する事ができます。

たとえば、風邪でベッドに入っているヒロインの傍を離れようとしたら、腕を掴まれる口では「なんでもない」などというヒロインですが、本当は離れてほしくないという事は、察してもらえるかと思います。

このように、言葉がない。または、言葉とは逆の行動を取っていても、キャラクターの感情を表す事はできます。
これはこれで、雰囲気があります。口と態度が裏腹な事で、キャラクターの魅力がアップしたりします。
ただし、この場合はこれまでよりも直接的な表現ではなくなっているので、読者によっては伝わらなかったり、誤解されてしまう場合もあるかもしれません。
読者の想像に委ねる部分が多いからこそ、効果が発揮された時は大きいのですが、効果発動の確率も不確定です。
どんなにわかりやすい表現をしたつもりになっても、考え方が違えば伝わりません。

これはもう、自分の感性と読者の感性がなるべく近い事を願い、できる限り伝わる事を祈るしかないでしょう。

 

 

◆設定で示す
さて。ここでちょっと特殊な例として、特別な設定で示す、というのも書いておこうと思います。

主人公の気持ちは心の声で描く。でも、他のキャラクターの描写はどうしよう?
そう悩んだら、いっそ、主人公は何らかの方法で他人の心が読めてしまうという事にしてはいかがでしょう。

これならば、もう他のキャラクターの心理描写で悩む必要はありません。
全部見えます。赤裸々に。喜んだ事も怒った事も悲しんでいる事も、彼女の悩み事から可愛らしい秘密まで。
ただ、私はこの設定で書いた事がないので、簡単に想像した程度ですが……これはこれで、別の問題がありそうですね。
すべてが見えてしまうが故に、それぞれのキャラクターの隠したい部分が見えすぎてしまって困ったりしそうです。
うまくできれば面白そうですが、なかなか難しそうだなとも感じます。
やはり、完璧なものなどないのでしょう。

 

 

では、そろそろ長くなってきたので今回はこれぐらいにしておきます。
この記事で書いたのは、基本的に小説にも通じるものでした。次回は、もっとノベルゲームならではの心理描写の方法についても書こうと思います。

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