日曜定期更新(04/21/2019)「結婚主義国家 変人縁談 初稿」※ネタバレ注意

日曜日に書く事があっても無くても「とりあえず定期更新」するコーナー。 企画担当のどうでもいい事だったり、時として新作タイトルの事についてだったり、更新して、生存報告する事が第一目的です。

ケイ茶です。

今回は「変人縁談」の初稿です。完結していないため、短めです。

また、もう少し探ったら「婚前監禁」の初稿も発掘されたため、来週はそちらを公開予定です。

※「結婚主義国家」のネタバレが含まれる場合があります。
そのため、本編をすべてプレイしたうえでの閲覧を推奨いたします。

「変人縁談」の初稿です。※完結していません。
最初のタイトルは「本名偽装」で、明が明斗の名を騙っていたり、ヒロインがのんびり系の性格のキャラだったり、「儀式失敗」の流れが混ざっていたりと、いろいろ違ったりしました。
初対面から始まる割にインパクトに欠ける、という事で様々な部分がかわり、現在のガーベラさんが登場しました。

ガーベラさんというキャラクターの決定後は、キャラが好き勝手に動いたので自動的に話が決まりました。 R

【明良】
「オレは明斗です。よろしくお願いします」

【ヒロイン】
「あれっ? このプロフィールには明くんって書いてあるよ?」

【明良】
「ただの記載ミスですよ」

【ヒロイン】
「そっかぁ。わかったよ」

そうだ。気にするな。たしかにオレは明斗じゃないが、そんなのお前には関係ない。

どうせオレもお前も、『誰とでもいいから結婚したい』という人間だ。

だったら、オレが誰だっていいじゃないか。

;▲和室

不意に、友人たちの顔が思い浮かんだ。

友人A。あいつはたしか言っていた。「俺、今の彼女と結婚できるか不安だよ。浮気されるかもしれない」と。

友人Bの言葉はこうだ。「結婚した後、尻に敷かれないか心配だ」。

「ヤベェ。もう半年も彼女いねぇから、オレ死ぬかもしれない」と言ったのはCだった。

オレはその度に、話に付き合ってやった。そうだな大変だな不安だよなよくわかる。

ああ、言ってやったさ。安心させてやったし、アドバイスも言った。

だが、あいつらは気付いていない。

自分たちがどんなに幸せかという事を、何一つわかっちゃいないんだ!

彼女に浮気される? じゃあ愛を囁いとけ! 浮気されないように四六時中張り付いてろ! メアドにお互いの名前入れてるくせにまだ不安か!

結婚生活が不安? お前が選んだ彼女だろ! 信じろよ! 仲良くしろよ! いつも見せつけやがって! カンカンカンカン鐘鳴らしてろ!

半年間1人だから死ぬ? じゃあ18年彼女がいないオレは、もう30回以上死んでるよな! オレはゾンビか! 幽霊か! なら成仏させてくれ!

なんだかんだ言いつつ、あいつらは上手くやって結婚するだろう。生き延びるだろう。そういうやつらだ。

それに比べて、オレは違う。

本気でマズイ。このままだと結婚できない。

だってあと1ヶ月で結婚式だぞ。死ぬ。殺される。

だから、どうにかしないとヤバい。

早く、生き残る方法を見つけ――。

【ヒロイン】
「おーいっ!」

【明良】
「ふへっ!?」

突然聞こえた大声に目を瞬かせると、対面に座った女の子がいた。

その子の前に置かれたプロフィールの紙と、見慣れない周囲を見てようやく思い出す。

そうだ。オレは今まさに、命をかけた戦い――お見合いをしているところなんだった。

【ヒロイン】
「ずいぶんくるしそうな顔してたけど、だいじょうぶ?」

【明良】
「ああ。平気だ」

いけないいけない。

目の前に、オレを救ってくれる天使かもしれない存在がいるというのに、地獄に想いを馳せるなんて馬鹿げている。

気合いを入れ直さなければと、用意したばかりのスーツを整え直す。

【ヒロイン】
「……めーくん。わたしの話、ちゃんと聞いててくれた?」

【明良】
「ああ、聞いて……。めーくん?」

【明良】
「オレの名は、明斗だと言ったはずだが」

【ヒロイン】
「あ。やっぱり話聞いてなかったね」

【ヒロイン】
「わたしたち、これから恋人同士になるんだから、愛称で呼んだ方がそれっぽいと思うんだよ」

【明良】
「それは聞いていた。だが、なぜ『めーくん』なんだ?」

【ヒロイン】
「んー。普通に『あきくん』でも良かったんだけど、それだと誰かに呼ばれた事がありそうかなぁって」

【明良】
「なるほど」

そういえば、本物の明斗――兄貴は、あき君と呼ばれていた。

それを考えれば、彼女の考えは予想は正しい。

ただ、明良であるオレも同じように「あき」がついているというのに、そんな呼ばれ方をされた事はないが。

そもそも、女の子から名前を呼んでもらった事なんて一度もないが。

【ヒロイン】
「どうせなら、誰も呼んだことのない愛称がいいな、って思って」

【ヒロイン】
「だから、めーくん」

【明良】
「そうか」

【ヒロイン】
「いいかな?」

【明良】
「ああ。許す」

【ヒロイン】
「やったぁ。じゃあ、めーくんって呼ぶからね」

【明良】
「オレの方も、お前を愛称で呼んだ方がいいか?」

【ヒロイン】
「あ。それはだいじょうぶ。普通に、ヒロインって呼んでね」

【ヒロイン】
「わたし、男の人からそう呼ばれた事ないから、誰かとかぶったりしないよ」

【明良】
「わかった。なら、そう呼ぼう」

なるほど。彼女も異性慣れしていないらしい。

まぁ、オレと同じ18歳だというのに、こんな時期にお見合いをしているんだから当然か。

ただ、1つ気になるのは……。

【明良】
「ヒロインさん」

【ヒロイン】
「んー? なぁに?」

【明良】
「その指……いや、うん。名前を呼ぶ練習だ」

【ヒロイン】
「そっかぁ。どんな事でも、練習は大事だもんね」

【明良】
「ああ」

……指輪だ。

なんだか子供のおもちゃのようにも見えるが、それは、彼女の左手の薬指にはめられている。

さすがに結婚した状態でここへ登録する事はできないはずだから、何か事情があるんだろう。

この国では離婚という制度が廃止されているが、死別の場合は婚姻が解消されると聞いた。

そうでなくても、別れた彼氏にもらった婚約指輪という可能性もある。

どちらにしろ、下手に詮索しても良い事はなさそうだ。見なかった事にしよう。

【明良】
「あー……。このプロフィールによると……ヒロインさんは、寝るのが趣味か」

【ヒロイン】
「うん。寝るのって、幸せだよねぇ」

【ヒロイン】
「ふかふかのベッドに飛び込んで、やわらかい抱き枕かかえて、枕に顔をうずめたら……もう、全身がとろけちゃう気がするんだぁ」

【明良】
「ああ。その気持ちはよくわかる」

【ヒロイン】
「丸10年ぐらい眠っていられたら、幸せだよねぇ」

【明良】
「ああ。わかる」

本当はわからない。

10年眠るなんて怖すぎる。世界からおいてけぼりじゃないか。そう思うものの、口にはしない。

ここは同意した方がいい。女の子の話にはとりあえず同意しておけって、どこかの恋愛指南本に書いてあった。

そうしてただうんうんと頷いていると、今度は友人Dの姿が脳裏に浮かんだ。

頭の中で、そいつが言う。

@友人D
「生き延びたいだけなら、お見合いすれば楽なんだろうなぁ。だって、お互い利害が一致してるもんなぁ。結婚できないはずがないよなぁ」

……ああ。そうだろう。オレもおまえと同じ考えだった。

結婚相談所とは、この非情な国に唯一存在する天国。救いの場だ。

多少の恥ずかしささえ我慢してここにたどり着けば、死ぬ事はない。結婚できる。

――それは間違いなんだよ、友人D。

このままじゃ死んでしまう。と思って慌てて結婚相談所に駆け込んできたはずの人間は、ずらりと並んだ他人のプロフィールを見て冷静になる。

なんだ、同じような人がこんなにいるなら簡単に結婚できるだろう、と。

そうして、「どんな人でもいいから結婚して生き延びたい」から「できるだけいい人と結婚したい」と考えがかわる。

生き延びる事だけを考えてここへ来たはずなのに、更にその先の、幸せな結婚生活まで求めようと貪欲になるわけだ。

これは、実際にオレがそうだったからよくわかる。

そうして欲を出した人間が集まると、結局これは外界と変わらない。選別だ。

そうして選別をしたりされたりしていたら、いつの間にか結婚式の1週間前。

もうなりふり構ってはいられない。そう。この子に決める。それしかない。

【明良】
「……ヒロインさん。単刀直入に言う」

【ヒロイン】
「なぁに?」

【明良】
「オレと、結婚してくれないか」

【ヒロイン】
「わぁ。本当に、はっきりだねぇ」

【明良】
「性急な事はすまないと思う。だが、事情が事情だ」

【ヒロイン】
「そうだねぇ。わたしもめーくんも、もう時間がないもんね」

【明良】
「ああ。……できれば、返事は3日後にしてほしい」

幸い、この子は優しそうだ。きっと、結婚生活もそうひどい事にはならないだろう。

【ヒロイン】
「3日後かぁ……。うーん……」

【明良】
「互いの事もあまり知らないうちから、本当にすまない」

【明良】
「だが、ヒロインさんが望むなら、名目上だけの結婚でもかまわないと思っている」

【明良】
「お互いに生き延びる事だけを考える、というのも間違ってはいないと思」

【ヒロイン】
「あ、ううん。そういう事じゃないよ」

【ヒロイン】
「ただ、3日もいらないなぁって思って」

【明良】
「というと……?」

【ヒロイン】
「不束者ですが、どうぞよろしくお願いします」

【明良】
「え。それって、つまり」

【ヒロイン】
「うん。1週間後には、夫婦だね」

【明良】
「夫婦……。結婚……。できる……」

呆然とつぶやけば、また、脳裏に友人たちが浮かび上がる。

@友人A
「おめでとう!」

@友人B
「おめでとう!」

@友人C
「おめでとう!」

@友人D
「おめでとう!」

――ああ、ありがとう友人ABCD。

苦節半年。オレはようやく、死を回避する事ができたのか。

【明良】
「これで、ようやく……」

【ヒロイン】
「あ。ひとつお願いがあるんだけど、いいかなぁ?」

【明良】
「ああ。なんでも言ってくれ」

これから結婚生活を送る相手だ。どんなのぞみでも聞こうじゃないか。

【ヒロイン】
「じゃあ、キスしてほしいなぁ」

【明良】
「……き、す?」

【ヒロイン】
「あ。間違えちゃった。……キスさせてもらうね」

【明良】
「え。おい、待……」

キス!? なんでいきなりキスなんだ!?

いや。別に悪くはない。願ったり叶ったりだ。

女の子とのキス。ファーストキス! 最高じゃないか。

いや、しかし、物事には順序というものがあるんじゃないだろうか。

なんて言っている場合じゃないな。なんか近付いてきているぞ。

よし。覚悟を決めよう。ええと、目を閉じればいいのか?

【ヒロイン】
「じゃあ、キスするからこれを腕に嵌めてね」

【明良】
「ああ」

そうか。よくわからないが、先にこの輪っかを腕に嵌めるのか。

どこかで見たことがあるが、まぁいい。それよりキスだ。

ああ、唇と唇がくっついて――。

【ヒロイン】
「あれ? 鳴らないねぇ」

すぐに離れた。

余韻もなにもあったもんじゃない。

【明良】
「……鳴らない? 何の話だ?」

【ヒロイン】
「これこれ。この腕輪だよ」

【ヒロイン】
「この腕輪は、実際に結婚式で使われているものなんだぁ」

【明良】
「……ああ。あの有名な。たしか、キスすると鐘の音がするとかという」

【ヒロイン】
「うん。それだよ。お父さんが、こっそりもらってきて、試しなさいって言ってくれたんだけど」

【ヒロイン】
「鳴らないねぇ」

【明良】
「ああ。鳴らないな。まぁ、ちょっと音がしなかったぐらいで、こんな……」

……。

【明良】
「……あ、あ」

……鳴らない? 鳴らないって、そんな事、あるのか?

今、オレは彼女とキスしたよな? そうだよな? 夢じゃないよな?

いや、間違いない。ファーストキスを忘れるものか。

オレはもう、脱・恋愛経験0をしたはずだ。リア充の仲間入りだったはずだ。

と、いう事は……。

【明良】
「壊れてるのか……? それか、偽物とか」

【ヒロイン】
「うぅーん。どうだろう。本物だとは思うんだけど……」

【ヒロイン】
「あ。そういえば、たまに、鳴らないカップルもいるって噂を聞いた事があるよ」

【明良】
「……鳴らなかったら、どうなるんだ」

【ヒロイン】
「殺されちゃうだろうねぇ」

【明良】
「……どうすれば、鳴るんだ?」

【ヒロイン】
「わからないよ」

【明良】
「……」

【ヒロイン】
「困ったねぇ」

頼むから、そんなにのほほんと言わないでくれ。
この子は、この状況を本当に理解できているのか?!

困ったなんてものじゃない。マズすぎる。

せっかくキスができたのに。

せっかく恋人ができたのに。

せっかく結婚できると思ったのに。

せっかく、生き延びられると思ったのに――。

オレはまだ、死の運命から逃れられないというのか。

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