日曜定期更新「一緒に行きましょう逝きましょう生きましょう」ED

以下は、エンディングムービーを用意する際、イメージとして書いた文章です。
基本的には最後はプレイしてくれた方の想像にお任せするつもりでいるため、あまり具体的に書いていませんし、公開も控えていました。
今はリリースからだいぶ時間も経った事もあり、想像を膨らませる1つとしての公開も良いのではないかと思い、のせてみました。

※ネタバレ注意です


一緒に、いきました

きょーや、おはよう。
私は今、歩いています。きょーやがいなくなってしまった世界で1人、進んでいるのです。


貴方の死を体験したら、雨が降りました。とてもたくさんの水が、この地球上に降り注いだのです。
それがきっと、神様のお答えなのだと思います。人間はーー私の償いは終わりました。
その証拠に、私は生きています。2日経っても、3日経っても苦痛はおとずれません。

私は、自由です。
なんとなくわかります。おそらく、今の私は何をしてもいいのです。
消えたい、死にたいと思えば、苦しみを感じる事もなく死ぬのでしょう。
でもだめです。それはしません。きょーやは私に生きていてほしいと願ったから、今の私があるのです。だから、私は死にません。
それに、もう、死ぬ事にも飽きてしまいました。
生きる事に飽きるまでは、生きます。
だって、きょーやにはもう見れない世界があります。
それを見ると、私は約束しました。

いつまでかはわかりませんが、私は見ます。
きょーやが知る事のできないものを見て、伝える。その約束を、果たします。

だから安心してください、きょーや。私は、生きます。

おはよう、きょーや。
今日は、海というものに入ってみました。
冷たくて、気持ちが良かったです。水でワンピースがくっついて変な感覚でしたが、楽しいと思いました。
きょーやは、泳ぐ事のできる人間だと言っていましたよね。

なので、私も泳いでみようと思ったのですが……。沈みました。
それに、水の中では息ができませんでした。
これはおかしいと思ったので、私はきょーやの言葉を思い返しました。
そして、気が付いたのです。水中では、息を止めなければならないのですよね。
だから……私は、泳ぐ事をあきらめようと思います。

息を止めるなんて、無理です。死ななければなりません。私はまだ生きていたいのですから、泳ぐのはまた今度にします。
ただ、水を飲んだら少し塩辛くておいしかったので、気に入りました。
その味のせいなのか、たくさん喉がかわきましたが、それもいいものです。


おはよう、きょーや。
きょーやは昔、人が死んだら星になるという話をしましたよね。
なので、私はきょーや星を探してみました。
きょーやの事ですから、きっと1番輝いているものだと思って、一生懸命探しました。

でも、わかりませんでした。増えた星はないように感じてしまいます。どれがきょーやなのか、わからないのです。
ごめんなさい、きょーや。


おはよう、きょーや。
きいてください。今日は、気がついたら意識がありませんでした。
ふと目をつぶってゆっくりしてみたら、夜空が青空へと変わっていました。日が登って、真上にくるまでの記憶がないのです。

これが、睡眠なのですね。私は、眠る事ができるようになったみたいです。きょーやと同じです。嬉しいです。
これからは定期的に眠ってみる事にします。


きょーや。
私は歩いている中、少し不思議に感じることがあります。
なぜ、私の両手は動くのでしょう。
なぜ、何も重みを感じないのでしょう。
きょーやを運ぶためにあった私の両手は、今、何に使えばいいのでしょう。

それだけではありません。
以前の私の体は、死ぬためだけの、罪を償うためだけの体でした。
では、今の体は何なのでしょう。幸せになるための体だと考えていいのでしょうか。


きょーや。
今日も眠ってみると、きょーやがいました。前と同じように喋って、動くきょーやです。
私におはようと言ってくれて、私を撫でてくれて、一緒にボーリングをしました。とても、とても楽しかったです。
でも、目覚めたらきょーやはいませんでした。
これが、夢、というものなのですね。

きょーや。……きょーや。目覚めてもいてください、きょーや。

きょーや。おはよう。
今日は、芽を見つけました。目ではありませんよ。芽です。植物です!
昔、彼らの住処があったところです。あのあたりから、いくつかの植物が芽吹いていました。
彼らはきちんと、種を保存していたのです。雨が降って、成長したのだと思います。
これは凄いですよ、きょーや。

1日ごとに、植物が成長していきます。
伸びたり、葉っぱがふえたりするのです。
でも、まだあんまり丈夫とはいえません。へなへなです。貧弱です。
なので、私はこの植物を守ろうと思います。両手で包んで、風に飛ばされないようにしてみます。ここに留まってみます。

きょーや、きょーや。これでいいのですよね。私はこうやって、両手をつかえばいいのですよね。
きょーや。世界は、変わっているのですね。


きょーや。
今日は、動物をみつけました。動いていたので、多分生きています。
でも、なんという動物かはわかりません。

というよりも、その動物に名前なんてないのでしょう。ですから、私が名前をつけました。
きょーやが私に名前をくれたように、これからは、私が、見つけたすべてのものに名前をつける事にします。


きょーや。
なんだか、動物の数も植物の数も増えてきました。
色々な種類の生物がいるので、名前を考えるのが一苦労です。
そんな生物たちには警戒される事もありますが、大抵は近くに寄ってきてくれるのです。

なので私は調子にのって、きょーやが教えてくれた様々な知識を教えてみました。
みんな興味津々でした。楽しいです。

きょーや。
生物が、進化していきます。
少しずつまとまりができてきて、独自の言葉を喋るようになりました。
そんな新しい言葉で、私は今、神様と呼ばれています。なんだか、変な気分です。
ちょっとむず痒くなってきたので、
私はまた旅に出る事にしました。
皆さんは私を慕って引き止めてくれましたが、私はいきます。

私は、歩きます。

きょーや。
また1人になって、ふと空を見上げたら、知らない星がたくさん増えていました。
大変です。
これは覚えなければならないと思い、私はじっと空をにらみました。
でも、数時間たって気が付いたのです。
私は、覚えても伝える事ができません。

きょーやには、もう、星を伝える必要が……ないのですよね。伝える方法が、ないのですよね。
私はもう、星を覚えなくていいのですよね。

きょーや。
世界は、変わりました。
貴方がいなくなって、世界は変わりました。
貴方がいないまま、たくさんの時間が流れました。何度も太陽が沈みました。私はたくさんの事をしました。他の生物と触れ合って、楽しいと感じました。
けれど、1番輝いているのはきょーやなのです。
きょーやと過ごしたあの時間は、キラキラしています。夜空の星をどんなに見ても、あれほどの輝きはやはり、どこにもありません。

きょーや。
……やっぱり、寂しい、ですね。
きょーや。
……貴方に、もう一度、会いたいです。
夢ではなく、本当の貴方に会いたいです。
死んだら、貴方に会えるのでしょうか。

でも、私はまだ生きます。とびっきりの幸せで終わるために、まだ、生きます。

……。

……。

……?

……あ。

……きょー、や……?

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日曜定期更新「一緒に行きましょう逝きましょう生きましょう」ED” に対して1件のコメントがあります。

  1. ゆっき より:

    あのEDにはそういうメッセージがあったんですね。
    ゲームは鏡夜視点で進行していくので、アサギリ視点でのEDという発想は無かったです。
    鏡夜視点だとED後すぐに再会(?)したのでその「間」があることに思い至りませんでしたねー・・・

    というかこんなん普通に泣くやんけ・・・(´;ω;`)ブワッ

    1. water phoenix より:

      ゆっきさん、こんにちは。

      たしかに、ゲームではほぼ鏡夜視点でしたね。
      開発スタッフとしてのイメージはこちらの文章ではあるものの、色々想像できるようなEDにしたつもりですので、そのまま鏡夜の視点として見るのも面白いかもしれませんね!
      リリースから時間が経っているものにも関わらず、感動して頂けて嬉しいです。
      コメントありがとうございました!

  2. ゆき より:

    初めまして。まずは心に残る作品、ありがとうございます。

    やり始めて一度も席を立たずに一気に完走した後、余韻冷めやらぬままに開発元が気になってここを訪れたのですが……ただでさえ完走直後で涙腺が緩んでいる状態でこのメッセージを見て、現在は完全に崩壊しました()

    いま、画面がほぼ見えない状態でこの文章を打っております()先人を見習いましてネタバレ防止のため殆ど感想を書き連ねることが出来ないのは少し残念ですが、就活戦争で荒んでいた心に響く、今年一番の作品だったと思います。

    貴社の作品は未だ『いきましょう』しかプレイしていないのですが、これを機に残りもプレイさせていただきたいなと思います!

    最後に。プレイし始めたばかりの時、『アレ、この子もしかして全〇じゃない……?』とつい呟いてしまったのを覚えています。その後、物語が進んでいくにつれ、鏡夜視点であまり印象に残らなかったあの序盤のやり取りにも大切な意味があるのだと気が付いた時、思わぬ衝撃を受けました。タイトルの回収も丁寧に描かれていて、プレイしている途中で『あっ』と思わせる瞬間が何度もありました。

    一部、気になったままの設定などはございますが、完走した今、途中途中の伏線などを思い返しながらもう一度プレイしてみて、個人的に物語全体の繋がりを見直してみたいと思っております。こうして『もう一度』と思えるような作品との出会いを、本当にありがとうございました!

    長文、失礼しました。

    1. water phoenix より:

      ゆきさん、初めまして。

      一気に完走してくださった事、作品を気に入って頂けた事、開発元を探して辿りついて頂けた事、どれも本当にありがとうございます。
      このEDに関してはずっと公開するかどうか悩んでおり、ほんの少し前に思い立っての公開でしたので、見て頂けてとても嬉しいです。
      また、ネタバレ防止についてのご配慮もありがとうございます!
      『いきましょう』は短めの作品だからこそ、細かいところにも力を入れる事ができたため、そういった点を気付いてもらえて嬉しいです!

      就活戦争では辛い事や大変な事、疲れてしまう事も多いかと思います。
      頑張らなければならないと気を張りがちかと思いますが、あまりご無理をなさらないよう、ご自愛くださいませ。

      他の作品も少しでも気に入って頂けますと嬉しいです。
      こちらこそ、素敵なコメントをありがとうございました!

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