シナリオ編1「物語は、プールです!」 第38回ウォーターフェニックス的「ノベルゲーム」の作り方

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第38回 シナリオ編1「物語は、プールです!」
執筆者:シナリオ・イラスト担当 R


他の会社さんや、個人のクリエイターがどうやってノベルゲームを作っているのかはわかりません。
ここに書かれているのは、あくまで私達「ウォーターフェニックス」的ノベルゲームのつくりかたです。

 



こんにちは。Rです。
今回からはシナリオ編として、物語の描き方を詳しく考えていこうと思います。

しかしそもそも、物語とは何でしょうか?
それがわからなければ、描き方なんてわかりませんよね。
物語。と辞書を引けばいろいろ載っているのですが、ここでは私なりの考え方を書いていきます。

◆物語は、プールです
◆特色のあるプール
◆キャラクターたち
◆深みへと、引きずり込むために
◆流れ方


◆物語は、プールです
例えるならば、物語とはプールのようなものだと思っています。
そのたとえでいくと、読者(プレイヤー)はプールに興味をもって、入ってきてくれる方です。
「今日は暑いから水に浸かりたいな」という感覚が、「暇だから物語に浸りたいな」という風に変わっただけです。

想像してみてください。暑い夏の日、水に手を入れた時のひやりとした感覚。肌の上に浮かんだ汗の粒が、水に入る事で流されていく爽やかな心地。
まずはただ水の中に入っただけで、幸せな気持ちになれるのではないでしょうか。

……しかし。それはあくまでも、最初の話です。
入ったと思ったプールが、浅く、狭いものだったらいかがでしょうか。たいして魅力も感じず、これなら家のお風呂に入っているのと変わらないな、と思う事でしょう。
もう涼しくなったからと、すぐに飽きて出て行ってしまうのではないでしょうか。

それを引き止めるのが、物語における設定です。

◆特色のあるプール
浅くて、狭くて、とても泳ぐ事のできないプール。
しかしその周りの景色が、特別なものだったらどうでしょうか。

たとえば、広大な星空が広がったり、どこまでも見渡す事のできる草原があったり。または、未来的な建物が立ち並んでいたり、いかにも幽霊が出そうな家屋があったり。見たこともない不思議な空間が広がっていたり。
そんな場所でぽつんと水に浮かんでいたら、ただそれだけで「ここはどんな場所なんだろう」と興味が惹かれる事でしょう。
ここにいたら、何かが起こるかもしれない。この景色をもう少し見ていたい。

そう感じて、もう少しこのプール(物語)に触れていても良いかなと感じますよね。

それが、世界観です。

 

◆キャラクターたち
さて。そんな興味深い世界を眺めていると、次にキャラクターが出てきます。
世界の様々なところから、ひょっこりと顔をあらわしたキャラクター達はそれぞれが思い思いに自己紹介をするわけです。

「私はこういうキャラクターです。こんな性格をして、こんな姿をして、こんな風にしゃべります」
次々に行われるその自己紹介を見ていたら、あっという間に時間が過ぎていく事でしょう。
そうなればもう、プールの浅さや狭さなんて、忘れていると思います。
このように、魅力的なキャラクターもまた、読者を物語にとどめるために必要なものだと感じます。

 

◆深みへと、引きずり込むために
しかし、そんな風に魅力的に感じた世界やキャラクターにも、次第に飽きてしまう事でしょう。
延々と自己紹介だけをされたら、途中から聞くのも嫌になるかもしれません。
想像力が掻き立てられる可能性はありますが、それは自宅でもできるので、わざわざプールに浸っている必要はなくなります。

これではまだ、読者の心を鷲掴みにしたとは言えません。
もっと、プール(物語)の中にどっぷりと入り込んで、沈み込んでもらう。浸りきってもらう。
そのために必要なものが、流れです。

 

◆流れ方
ただのプールを、流れるプールにしてみましょう。
すると、どうでしょうか?


貴方は、ただそこにいるだけで良いのです。プールの中で水に浸って、目を開けているだけ。体を動かす必要はなく、浮遊感と流れに身を任せている。
それだけなのに、周囲は変化します。流れる中で見るキャラクター達は、これまでとはまた違った姿に見える事でしょう。同じだったように見えた世界も、新たな景色が見えて新鮮だと感じるかもしれません。

しかしそれも、ただ流れるだけではもったいないです。
読者が飽きてしまわないように、より、楽しいと思うように緩急をつける必要があります。
ゆるやかな流れだと思ったら、急にぐいぐいと引き寄せられるようになったり。
それが、起承転結という考え方です。

※他にも序破急などといった考え方もあるのですが、私は起承転結という考え方が好きなので、ここでは他のものについては割愛します。

という事で、少々回りくどくなりましたが、次回は物語の流れ、起承転結について書こうと思います。

 

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