シナリオ編8「説明台詞を排除せよ!」 第45回ウォーターフェニックス流ノベルゲームの作り方

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第45回 シナリオ編8「説明台詞を排除せよ!」
執筆者:シナリオ・イラスト担当 R


 

他の会社さんや、個人のクリエイターがどうやってノベルゲームを作っているのかはわかりません。
ここに書かれているのは、あくまで私達「ウォーターフェニックス」的ノベルゲームのつくりかたです。

 


こんにちは。Rです。
物語において、説明って必要不可欠ですよね。
キャラクターの名前。キャラクターの関係性。
世界のあり方。その場所のルール。ものによって、様々な事を読者に理解してもらわなければなりません。
その説明の方法は、いくつかあるのですが……説明しようとばかり思っているとついつい増えてしまうのが説明台詞です。
今回は、それについて考えていこうと思います。

◆そもそも説明台詞って?
◆なぜ、説明台詞はだめなのか?
◆喋るより見せる
◆台詞を減らす注意点
◆喋るなら、自然に混ぜる

 

 

◆そもそも説明台詞って?

説明台詞というのは、「説明するためだけの台詞」です。
例えば、すれ違った主人公に対してモブキャラクターが「ねぇ知ってる? 今の人っていつも全国模試一位で、スポーツも万能だし、性格も優しくて素敵で、顔もいいから毎日のように告白されているんだって」というような台詞の事です。
上記の台詞には、『主人公の情報』しか存在していません。
このように、誰が言ってもいいような説明だけの言葉は、説明台詞だと言われてしまいます。

 

 

◆なぜ、説明台詞はだめなのか?

そんな台詞が嫌煙されたり、下手な台詞だと言われてしまう理由。
それは、不自然だからです。

先程の例えで出したような説明台詞は、いかにも作者によって言わされているという感じが強く、物語に入りこむ事を阻害します。話の流れが途切れてしまったように感じます。
また、ひたすらそんな台詞を繰り返されても、それは文字だけの教科書を淡々と読んでいるようなものなので、頭に入りにくいのです。

 

 

◆喋るより、見せる
では、どうすればそんな説明台詞が減るのでしょうか?
それは、見せる事です。

例えば先程の「今の人っていつも全国模試一位で、」
という説明台詞は、主人公が全国模試の結果の紙を持っているシーンを入れたら必要がなくなります。
スポーツ万能だとか、優しいとか、そういう事もすべて同じです。その様子を、実際に見せてしまえば良いのです。

頭が良いキャラクターなら、頭が良さそうな会話をさせましょう。それが難しいようなら、テストで満点をとっているとか、何かすごい賞をとっているところをみせましょう。
モテるキャラクターなら、告白に慣れている様子をみせましょう。大げさにやるなら、目を合わせただけで異性が倒れてしまうぐらいでもいいです。
○○をすると死んでしまうというような世界なら、○○をして死ぬキャラクターを出しましょう。
主人公とヒロインの友達以上恋人未満な雰囲気を出したいのなら、手を握ろうとするけれど今一歩踏み込めないとか、そんな微妙な雰囲気を描きましょう。

このようにしていくと、自然に、説明台詞は減っていくと思います。

 

 

◆台詞を減らす注意点
しかしそのように様々なシーンを見せる事にしても説明できない、または、説明が難しいような事柄もあります。

たとえばロボットに乗って戦うとしたら、そのロボットの動きや強さは表しやすいのですが、動力源はなんなのかとか、制作者は誰なのかという事は説明が難しいです。
動力源を直接目にしたり、製作者の名前が書類に載っているシーンを入れたりすれば説明が可能ですが、それが物語にとってさして重要ではない情報の場合、無駄なシーンが増える事になってしまいます。

説明台詞がなくなったかわりに、今度は説明のためのシーンが数時間も続くようになってしまったのでは、意味がありません。
ですからそんな時は、会話の流れの中に説明を組み込んでしまいましょう。

 

 

◆喋るなら、自然に混ぜる
ヒロイン「このロボットはAという珍しい物質を燃料にして動きます。制作者は私の父です。父は5年前に亡くなりました」

という風に、唐突にキャラクターが説明し始めたら、それは説明台詞です。
しかし、誰か他のキャラクターがその事について口にしたうえで、返事として説明するのなら。それは、自然な会話となります。
上記の例でいくと、

・Aという珍しい物質が燃料という説明
主人公「くそっ、燃料切れだ! 補給を頼む!」
ヒロイン「すみません。このロボットはAという珍しい物質を燃料にしているので、ここでの補給はできません」

・製作者はヒロインの父。そして5年前に亡くなっている
主人公「このロボット、気に入った。一つ一つの動作が丁寧で体に馴染むから、きっと、すごい人が作ったんだろうな」
ヒロイン「そうですよね!すごいですよね!」
主人公「……お前、嬉しそうだな」
ヒロイン「それを作ったのは、私の父ですから」
主人公「本当か!? じゃあ、今度会わせてくれよ! 話が聞きたいんだ」
ヒロイン「すみません。それは無理です。……父は、5年前に亡くなっていますから」

という風な会話を入れると、説明をしながら物語をすすめる事ができます。
また、もっと具体的な説明を長く入れたいのなら、他のキャラクターに一言「○○について教えてくれ」と言ってもらえばいいのです。
この場合は多少説明的にはなりますが、○○について語る事は、ただの説明ではなく、問いかけに対する返事となるので、物語の流れを壊す事はありません。

 

説明台詞というのは、唐突にしゃべりだし、不自然だからこそそう言われてしまうのです。
ですから、その説明に繋がるような流れを自然に入れる事ができれば、説明台詞だと感じさせてしまう事は少なくなると思います。

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