「シリーズもの、続編を作るにあたっての考え方」

「シリーズもの、続編を作るにあたっての考え方」

ノベルゲームを一本作って、その作品が評価された、気に入った。
だからシリーズ化したい、続編を作りたいと思っていませんか?

今回、シリーズものや続編を作るのにあたって考えた方が良い事、考え方を自分なりにまとめてみました。
この考え方を知ってから続編を作る、作品を作る前に知っておく。
それだけで、シリーズものや続編を作る際のヒントや考え方の参考になるはずです。

特に企画担当の方やシナリオ担当の方で悩んでいる方に少しでも参考になればと思います。

目次

  1. 最初から続編を想定する
  2. 続編を想定していない状態から作る
  3. 世界観や設定を引き継いで新作を作ると言う方法も
  4. 最後に

最初から続編を想定する

正直なところ、これがベストな考え方でしょう。
基本的にノベルゲームの場合は「その一本で完結」する事が多いです。
そのため、何らかの大きな問題が発生し、それを最後に解決する。

ノベルゲームに限らずですが、物語上の大きな問題は最後には解決されてしまうのです。
だからと言って、解決しないのでは物語としては物足りません。

ただし、最初から続編がある事を公表or考えていれば話は別です。
例えば「前編・後編」「第一部~第三部(三部作構成)」等のような場合ですね。

この場合は、前編後編であれば前編のラストで大きな盛り上がりがあって、そのまま後編へ続く!となります。
もしくは、前編で「とある問題を解決」したけれど「大きな問題はまだ残っている」となるのかもしれません。

これは三部作構成の場合も同じです。
一部では一部の問題を、二部では二部の問題をそれぞれに解決。
そして、三部にきて「物語全部の問題を解決」になるというパターンも作れるでしょう。

このように、最初から続編やシリーズを想定して企画を立てる。
これが一番良い方法なのです。

続編を想定していない状態から作る

ただし、この記事を見ている方の多くは「続編を想定していなかった」でも、作りたい!作る必要がある。
そのような方の方が多いのではないでしょうか?

この「続編を想定していない状態から作る」事はかなり困難な事なのです。
なぜか?-それは「大前提として一つの物語の最大の問題が解決済みであるから」

分かりにくいと思うので、例えば魔王討伐モノものにしましょう。
勇者が魔王を倒すまでの物語と考えてください。

この物語で勇者は最後には全ての力を出し切って魔王を倒します。
そして、全ての伏線も回収し、全ての力を出し切り、最高の形で終わったとします。

さて、貴方はこの続編をどのように作りますか?
……いかに難しいか、わかって頂けるんじゃないかと思います。
だって、その世界には魔王はもう既にいない、勇者のレベルはマックス。
=仲間もいて、力もある、最大の敵は既にいない。

ここで、無理やり「魔王復活」「新たな魔王が出現」という方法も可能です。
ただし下手をすると「同じ事の繰り返し」になる危険性も高いのです。

では思い切って「魔王を倒した勇者は、村娘に恋をした」として、勇者のその後のラブストーリーにする!
と思い切ってジャンルを変えたとします。

これはこれで、前作を楽しんでくれた人の期待を裏切る可能性も高いのです。
(求めていなかった、そんな後付けはいらない……等)
もちろん、やってはいけないって事はありませんが、難しいのは確かです。

何にしても、続編を想定していない状態で「綺麗に終わった作品の続編を作る」というのは本当に大変な事だと思うのです。
もちろん、クリエイターとしては続編を作って欲しい!と望まれるのは嬉しい事です。
また、前作が売れたから続編を作って欲しいと仕事で言われる事もあるでしょう。

無理やり作ることは出来ても、基本的には難しい……。
これが答えだと私は思っています。

それでも作る必要がある、その場合はこの↓の「世界観や設定を引き継いで」という方法が最もやりやすい方法で、現実的だと思われます。

世界観や設定を引き継いで新作を作ると言う方法も

基本的に「綺麗に完結した物語の続編は難しい」でも、作る必要がある。
その場合は、この方法がつかわれる事が多いはずです。

ズバリ「世界観や設定を引き継いで新作を作る」
考え方はこれです。

シリーズものの作品を考えてみてください。
特に最初の作品の公開後、続編が発表された作品ー明らかに、最初の時点では続編は考えられていなかっただろうなーというタイトルの方が良いです。

それでも、面白い作品はかなりあります。
場合によっては2が1を超えている作品も多いのです。
(ここで、無理やり作って下手な事をやると2は駄作、1の方が面白かった!になります)

2が1を超える為に、超える可能性がある方法の一つがこれなのです。

◆「世界観を引き継ぐ」
1と同じ世界だとします。
例えば勇者が魔王を倒した世界。

その百年後に新たな魔王が誕生し、勇者の末裔の力も何もない少年が魔王を倒す物語。
これだと、1の「最初から魔王がいて、それを倒すための勇者の物語」ではなく
「平和だった世界に、昔いたと言われていた魔王が復活した、その上勇者はもういないーいるのは勇者の末裔のただの少年」
という物語になり、マンネリは回避出来ます。

更に、100年後くらいであれば、前作に登場した人物(例えば人間以外の長寿キャラ)が生きているかもしれませんし、旅をした場所もある程度は残っているでしょう。
また、過去作のキャラクターのその後はどうなったのか、その子供たちはどうなったのか。
この辺りの話も盛り込むことができます(前作を気に入ってくれた方も興味を持つ事が出来ます)

でも、基本的には前作と主人公は変わっているので、新規の読者も入り易いのです。

◆「設定を引き継ぐ」
前作の設定を引き継いで、完全新作を作り、それを「2」にする方法がこちらです。

同じ能力を持った別の国の人のストーリーであったり、IFの物語などを作ることが出来るでしょう。

◆「世界観と設定を引き継ぐ」
両方を引き継ぐ事も可能です。
この場合は、たとえば前作との繋がりをもたせると、前作を楽しんでくれた人もすんなりと入る事が出来ます。

例えば、主人公は「前作の主人公の親戚」だとか「友達」とか。
前作の主人公はあくまで今作では主人公ではなく、お助けキャラとして登場したりするのです。

あくまで、続編の主人公が主人公として活躍して、補佐する形で前作のキャラクターも登場する。
これが一番受け入れやすいパターンではないでしょうか。

何にしても、これらの方法を使っている作品は結構多いはずです。

最後に

基本的な3つのパターンを書いてみましたが、いかがだったでしょうか?

一番良いのは最初に書いた通り「企画の段階から続編を想定しておく、分割しておく」事です。
魔王を倒す物語でも1で「魔王を倒す」
しかし、1の企画時点で、続編で「魔王が再び復活する伏線を入れておく、理由をつけておく」また「主人公がまだ克服していない弱点を残しておく、成長の余地を残す」

そして、続編の2では魔王が復活し、主人公は1の時点で克服していなかった弱点があり、更には成長の余地もあります。
これだったら、主人公は更に成長をしながら葛藤をし、冒険をし、最後には復活した更に強い魔王に勝つ!という不自然では無い続編を作ることができるのです。

2つ目の想定していなかった状態から、上記のように作ろうとしても困難になります。
同じ主人公、同じ敵の場合は特に。

魔王が復活する理由がないのに、突然復活すると「なんで生きていたのさ?」「あれ完全に死んでいたよね?」となります。
主人公も「あれ?レベルマックスなのに、なんで弱くなったの?」とか言われる可能性もあります。

無理やり理由付けして「超高度な医療技術でまさかの復活」とか「死んでいたけれど、地獄から生き返った!」とか、出来なくはありません。
ただ、相当上手くやらないとツッコミどころ満載になる可能性もあるでしょう。

それを避けるのであれば「設定や世界観を引き継いでの続編」これが無難な方法なのです。
なので、個人的にはこちらをお勧めしておきます。

とはいえ、1⇒2の続編を結局は自然につなげることが出来れば問題ないのです。
読者が納得出来て、質が高い作品になるのであれば躊躇する必要はありません。

それが出来ずに、明らかに無理やり作った……になりそうであれば、下手な続編は身を滅ぼす可能性もあります。
(最悪、前作の評判も落とす可能性すらありますから)

この辺りは上手く考える必要があるでしょうね。
続編を作れば売れる!でスタートして、それだけで無理やり作って良いものが出来れば問題ありませんが、悲惨な事になる作品もあるので。

あとは、書いていないのですが「外伝」とか「補完ストーリー集」を続編にする事も出来ますし、ファンディスク的なものを作るという方法もありますね。

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