シナリオ編<オマケ10>「ボツシナリオ(5)魔王&勇者モノ<6>」 第114回ウォーターフェニックス的「ノベルゲーム」のつくりかた

第114回 シナリオ編<オマケ10>「ボツシナリオ(5)魔王&勇者モノ<6>」
執筆者:企画担当 ケイ茶


bro5

他の会社さんや、個人のクリエイターがどうやってノベルゲームを作っているのかはわかりません。
ここに書かれているのは、あくまで私達「ウォーターフェニックス」的ノベルゲームのつくりかたです。


ケイ茶です。
前回の続きです。

「魔王&勇者モノ<6>」


;▲★主人公視点

@主人公
「……勇者とは、皆、こういうものなのか?」

我は、鏡をつつく。

その中に映し出された勇者は、目を閉じたまま動きを見せぬ。

死んだようにも見えるが、このつながりが消えぬという事は、まだ勇者は生きているのだろう。

@主人公
「シュピラーレ・エクリ」

@魔王主人公
『応えよ、勇者』

@魔王主人公
『勇者よ。応えよ。……勇者ならば、我が恐ろしいだろう? 憎いだろう?』

@魔王主人公
『眠っていて良いのか? その間に、殺されるかもしれんのだぞ?』

石版に文字を刻んでみるが、勇者が気付く様子はない。

やはり眠っているのか。

@主人公
「我の前で呑気に惰眠をむさぼる とは、なめられたものだ」

@魔物Lv5
「ぴぎゃ!」

何度か声をかけてもみたが、まるで起きる気配がない。

まだ、声が届かぬ状態なのかもしれない。

@主人公
「いずれにせよ、我には勇者を起こせぬ、という事か」

殺すどころか目覚めさせる事さえできぬとは、なんと無力な魔王だろうか。

苦笑をにじませつつ、我はもういちど鏡をつついた。

;▲◆時間経過
我は新たに現れた勇者を屠り、自室へと戻った。

@主人公
「勇者の様子はどうだ」

@魔物Lv5
「ぴぎゃー……」

否定を示す魔物にうながされて鏡を見ると、たしかに勇者は目をつぶったままだった。

まるで変わっているような様子はない。

@主人公
「……寝汚い勇者め 」

丸3日以上眠るとは、なんと怠惰な事か。

睡眠を必要としない我は言うまでもなく、魔物とて、ここまで眠るものは少ない。

@主人公
「相変わらず、間抜け顔だ」

鼻で笑い、我はまた、鏡にうつる勇者を眺める。

;▲◆時間経過

@主人公
「……勇者はまだ起きぬのか?」

@魔物Lv5
「ぴぎゃ」

@主人公
「ふむ……」

あれから、すでに14日が過ぎた。

さすがにこれほどまでに眠っている姿を見せられては、ただ睡眠時間が多いだけとは言えぬ。

@主人公
「我らの世界と比べて、この勇者がいる世界は時の流れが遅いようだな」

@魔物Lv5
「ぴぎゃ?」

@主人公
「あちらでの1秒が、こちらでは10秒……否。数分や 、数十分なのかもしれぬ、という事だ」

そう考えれば、現状だけでなく、これまでの事にも納得がいく。

思えば、石版の勇者が返事をするまでの期間は妙に長かった。我は何度も待たされた。

十数日待たされた事もあった。……この、我が。

かといって勇者の方は意図的に返事を遅らせていた素振りはなく、まるで連続して会話をしているかのような話し方だった。

それらもすべて、時の流れが違うからこそだったのだろう。

そのせいで、我は今も勇者の寝顔などを見続けなければならなくなっているのだ。

@主人公
「……相変わらず、忌々しい勇者め」

なぜ、こちらの世界の方が早く時間が過ぎるのだ。逆であれば、我が勇者を待たせる事ができたというのに。
これでは、魔力を上げる方法がわからぬ。勇者を殺せぬではないか。

;▲◆時間経過
@主人公
「……まだ起きぬのか」

@魔物Lv5
「ぴぎゃ……」

我ながら、馬鹿馬鹿しいとは思う。

毎日毎日、こんな小娘の寝顔を確認するために足を運ばなければならぬとは、いくつ溜息を吐いても足りぬ。

だが、いちど目にしてしまった勇者をなかった事にもできず、鏡は室内に置かれたままだ。

;▲◆時間経過

@主人公
「魔物よ、様子は――」

@魔物Lv5
「ぴ! ぴぎゃ! ぴぎゃ!」

@主人公
「なんだ。何か変化があったのか」

@魔物Lv5
「ぴぎゃっ!」

我は鏡に向かって、足早に近づく。

そうして覗き込むようにして見ると、

@主人公
「……ようやく目覚めたのか」

勇者は起き上がり、石版に顔を向けていた。

どうやら、何かをしているようだが……動きが遅すぎて、よくわからぬ。

手元の何かを叩いている、といったところだろうか。

@主人公
「……む」

そうして眺めていると、石版に新たな文字が刻まれる。

@勇者ヒロイン
『ボクは、魔王に対して恐怖も憎しみも感じない。だから、好きなように寝る』

@主人公
「ふむ。あれは、魔力を操るための動作だったのだな」

@主人公
「しかしこの勇者は、突然何を言っているのだ?」

@魔物Lv5
「ぴぎゃ!」

我が小首をかしげると、魔物が別の文字を尾で示す。

@魔王主人公
『勇者ならば、我が恐ろし いだろう? 憎いだろう?』

@主人公
「……なるほど。そういえば、そんな事も書いたか」

まったく。調子が狂う。

@主人公
「今更そんな事、どうでもよいわ」

5ヶ月ごしの返事とは、なんと遅い事だろう。

;▲★ヒロイン視点

ボクはアクビをしながら、周囲の音に耳をすませる。

@ヒロイン
「……なんだ、この音」

どこからか、変な音がする。

呪文……ノイズ……いや。これは、音声を超倍速で聞いた時のものに似ている。

音がどこから聞こえているのかはよくわからない。でも、方向的に考えて隣の家からだろう。これは気にしなくてよさそうだ。

家の中に鍵ttえ言えば、足音無し。テレビの音もしない。そっと窓の外をうかがってみると、 車がなかった。

この様子からすると、両親は出かけているらしい。ほっと息を吐き、改めて時計を見る。

@ヒロイン
「えーっと……今日の睡眠時間は約10時間ってところか」

いつもは15時間ほど寝ている事から考えると、ずいぶんと早起きだ。

それは多分、昨夜、興奮しすぎたからだろう。

殺してもらえるかもしれない。そう思うと、寝起きの今でも心が踊る。

@ヒロイン
「さて。ボクを殺してくれる魔王さんは、っと……あ。いるいる」

画面を覗き込むと、また何件か新着コメントが来ていた。全部、自称魔王からだ。

とりあえず、目についたコメントに適当に返事をしておこう。

@勇者ヒロイン
『ボクは、魔王に対して恐怖も憎しみも感じない。 だから、好きなように寝る』

@魔王主人公
『返事が遅い』

@ヒロイン
「わっ。相変わらず早いなぁ」

@ヒロイン
「『これぐらい普通です』っと……」

呆れながら

普通どころか、むしろボクの返事は早いほうだと思う。

コメントに対して、当日中に返しているんだから誠実な方だ。

そりゃあ、この自称魔王がほぼ1秒で返事をしてくるのは凄いと思うけれど、ボクにまでそれを要求されたらたまらない。

@勇者ヒロイン
『それより、今日も魔力を上げるための行動をとるんだろ?』

さて、問題はこれだ。

一番手っ取り早そうな、装備の変更はもう済ませてしまった。

伝説の武器というくらいだから、これ以上性能の高いものはないだろう。

ということは、も っと別の方法で魔力を上げる必要があるわけだけど……。

@勇者ヒロイン
『そもそも、これまではどうやって魔力が高まっていったんだ?』

無意識のうちにでも特殊能力が強くなったということは、何かがあったという事にしないとつじつまがあわない。

そのあたりの設定は、ちゃんと考えてあるんだろうか。

気になって、画面をじっと見つめる。

@魔王主人公
『ふむ……』

@魔王主人公
『……我が魔力は、魔物とも連動しているのかもしれぬ』

@勇者ヒロイン
『魔物と連動? 魔物のもつ魔力も、お前の力になるという事か?』

@魔王主人公
『そうだ』

@魔王主人公
『魔物の数が増えた時。または、魔物の強さが上がった時。少しずつではあるが、力が強まっているように感じる』

@ヒロイン
「なるほど、今度はそういう設定にしたのか」

たしかに、それなら自然に魔力が高まっていた事にも説明がつく。

魔王は何もしていなかったけど、魔物がいろいろと頑張ってくれたおかげで、強くなっていたというわけだ。

少しずるい気もするけれど、それが魔王っぽいといえばそうなのかもしれない。

……なんだ。意 外としっかり考えているところもあるんじゃないか。

@勇者ヒロイン
『それなら話は簡単だな。魔物を強くしよう。鍛え上げるんだ』

@魔王主人公
『……それは具体的に、どのようにするのだ』

@勇者ヒロイン
『そりゃあもちろん、殺し合いさ』

@勇者ヒロイン
『それなりの数の魔物を一箇所に集めて、最後の1匹になるまで戦わせる』

これは、蠱毒と呼ばれる方法だ。

様々な毒虫を一箇所に集めておくと、自然に最後に残った1匹は強い毒をもつようになる。

魔物でも、似たような効果を得る事ができるだろう。

@勇者ヒロイン
『魔物が減ることで多少の魔力は減るかもしれないが、代わりに強力な1匹の魔物が生まれる事になるから、多分相対的 に見てプラスになるだろう』

@勇者ヒロイン
『それを繰り返せば、お前の魔力も高まるうえに、強い魔物軍団ができあがる。良い案だろ』

多くの魔物の犠牲の上に成り立った、最強の魔王軍。想像すると、ぞくぞくする。とてもいい。

そして、そんな強い魔物を勇者が倒す。うん。最高だ。

@魔王主人公
『……貴様は、なんと残酷な事を思いつくのだ』

@魔王主人公
『魔物同士で殺し合いをさせるなど、ありえぬ!』

@ヒロイン
「あー……忘れてた」

寝たせいで、うっかり頭から消し飛んでた。

そうだそうだ。この魔王、魔物大好きって設定なんだった。面倒くさい。

その設定、あんまり引きずらなくてもいいのに。

@勇者ヒロイン
『わかった。それなら殺し合いはやめよう。あくまでも訓練。殺す一歩 手前でやめる、って事にしよう』

本当は、きっちりトドメを刺した方がそれっぽいとは思うけれど。

闘技場でも経験値が入るゲームがあるんだから、瀕死状態にするだけでも良いだろう。多分。

@魔王主人公
『それでも、魔物が痛みを感じる事に変わりはないではないか』

@ヒロイン
「そう言われてもなぁ……」

@勇者ヒロイン
『訓練なんだから、多少の痛みは仕方ないだろ』

@魔王主人公
『魔物には、微かな痛みも感じさせぬ!』

@ヒロイン
「これはもう、甘いというか……過保護……」

@勇者ヒロイン
『グダグダ言っていないで、とりあえず戦わせてみろよ』

@勇者ヒロイン
『魔物が強くなれば、勇者に負ける可能性も減るんだぞ』

@勇者ヒロイン
『自衛するという意味でも、魔物は鍛えておくべきだ』

@魔王主人公
『く……』

@勇者ヒロイン
『お前の嫌いな勇者と、魔物がうっかり会う可能性はゼロじゃないだろ』

@勇者ヒロイン
『そんな時、弱い魔物だと良いカモだろうな。あっさり、殺されるだろうな』

@勇者ヒロイン
『本当に、それでいいのか?』

@魔王主人公
『……わかった。検討しよう』

;▲★主人公視点

@主人公
「… …魔物よ。我はどうすればいいのだ」

@主人公
「我が異界に行くためには、魔物を鍛えねばならぬという。魔物に、辛い思いをさせねばならぬのだ」

@主人公
「魔物どうしを戦わせる。そんな、野蛮で酷い命令など、我には……」

@魔物Lv5
「ぴぎゃ! ぴぎゃ!」

@主人公
「お前は……まさか、やるというのか?」

@魔物Lv5
「ぴぎゃ!」

@主人公
「同族で戦うのだぞ?」

@魔物Lv5
「ぴ!」

@主人公
「……わかった。ならば、我は訓練場を用意しよう」

@主人公
「お前は、この事を城内の魔物に伝えよ」

@主人公
「強制ではない。参加する意思のあるものだけ、我がもとに集めよ」

@魔物Lv5
「ぴぎゃ!」

;▲ 訓練場

@主人公
「……よくぞ、集まってくれた」

@主人公
「皆すでに理解しているだろうが、これは模擬戦だ。大怪我はせぬよう、じゅうぶんに注意して行え」

@主人公
「では、これより始める。各々、レベル差の少ない魔物とペアを組むように」

@魔物たち
「ぴぎゃー!」

@主人公
「……戦闘開始だ」

;◆戦闘

魔物Lv6があらわれた!

魔物Lv7があらわれた!

魔物Lv6は様子をうかがっている。

魔物Lv7は魔物Lv6を睨みつけている。

主人公は片隅で見守っている。

魔物Lv6の攻撃!

魔物Lv7に、10のダメージ!

魔物Lv6「ぴ、ぎゃ……」

主人公「あ、ああああああぁ!」

主人公は 混乱した。

主人公「なんという事だ……。我が魔物たちが、争わねばならぬとは……」

魔物Lv6の攻撃!

魔物Lv7に7のダメージ!

主人公「ぐ、うぅぅ……」

主人公は胸をおさえている!

主人公「く……。これ以上は、見ておれぬ」

主人公は逃げ出した!

◆

魔物Lv54があらわれた!

魔物Lv57があらわれた!

魔物Lv57は、??を唱えた!

魔物Lv54に氷の刃が向かう!

主人公「ならぬ!」

主人公のアビリティ挑発が発動!

氷の刃は、主人公に向かった!

氷の刃は砕け散った!

主人公「この程度、我にきかぬわ」

魔物Lv57「ぴぎゃー……」

魔物Lv57は主人公を睨んでいる!

魔物Lv54は主人公を睨んでいる!

主人公はおののいている!

主人公「……すまぬ」

主人公は逃げ出した!

◆

魔物Lv100があらわれた!

魔物Lv99があらわれた!

主人公「……これは、訓練なのだ。我が手出ししてはならぬ……」

主人公は呪文を唱えている!

魔物Lv100の攻撃!

魔物Lv99に350のダメージ!

主人公「手出ししてはならぬ……」

主人公は我慢している!

魔物Lv100は火をはいた!

魔物Lv99に980のダメージ!

魔物Lv99「グ、ギャアァ……」

主人公「ぐ、ああああァァァッ!」

主人公は自らの頭をたたいた!

主人公に、100のダメージ!

主人公「く……我の痛みなど、この程度か……」

主人公「ならぬ。このような惨い命を出した我は、もっと苦しまねば……!」

主人公は頭をたたき続けている!

魔物Lv100「グ、ウゥ……?」

魔物Lv100は戸惑っている!

魔物Lv99はおののいている!

魔物Lv5「ぴぎゃー!」

主人公は魔物Lv5に連れて行かれた!

 

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です